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大腸・肛門の病気

​便秘

原因

食生活・運動習慣・ストレス・自律神経の乱れ・年齢・性別・基礎疾患・服用する薬の作用などが影響して起こります。糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの基礎疾患があると、便秘になりやすくなります。咳止めの薬、抗うつ薬の副作用として便秘症状が現れる場合もあります。

便秘は大きく分けると、大腸の中に異常があり、便の通り道が狭くなったことによる「器質性便秘」と、大腸の中には異常がないものの、腸の動きに問題がある「機能性便秘」とに分けられます。器質性便秘の原因には、大腸憩室の多発による狭窄、婦人科手術後の癒着のほか大腸がんなどの重大な病気が含まれます。

以下に当てはまる方は、まずは大腸カメラ検査を受けることが重要です。

  • 元来は快便だったのに、急に便秘になった、便が細くなった

  • 便秘と下痢を繰り返す

  • 40歳以上で大腸カメラを一度も受けたことがない

  • 便に血が混じった、紙に血が付着した

  • 便潜血検査で陽性だった

  • 体重減少がある

  • 原因不明の腹痛が続く

  • 家族や血縁者に大腸がんや大腸ポリープの方がいる

治療

便秘により日常生活の質が低下するだけでなく、便秘の方は排便でいきむ際に血圧が急上昇し、心筋梗塞や脳卒中などの病気による死亡リスクが高まるので、便秘治療は大切です。食事・運動・生活と排便習慣の見直し・薬物治療を組み合わせることが基本となります。

食事

食物繊維、水分、発酵食品などをバランス良く取り入れると、腸内環境が整い、自然な排便が得られやすくなります。水溶性食物繊維を多く含む海藻類、おくら・納豆などのネバネバ食材、バナナ・キウイなどの果物はお勧めです。

運動

適度な運動は腸の動きを活発にします。散歩やストレッチなど軽い運動は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にします。

生活・排便習慣

便意を我慢しない、朝食をとる、決まった時間にトイレに座ることで排便リズムを整えます。少し前かがみの姿勢で便座に座ると便が直腸を通過しやすくなります。睡眠不足やストレスは便秘に影響するため、生活習慣を見直すことも大切です。

薬物治療

症状や便秘のタイプに応じて、便をやわらかくする薬・腸を動かす薬などを使い分け、用量を調節します。

  • 緩下剤(便を軟らかくする薬):酸化マグネシウム、ラクツロース

  • 膨張性下剤:ポリカルボフィルカルシウム

  • 刺激性下剤:センノシド、ピコスルファート

  • 粘膜上皮機能改善薬:ルビプロストン、リナクロチド

  • 胆汁酸トランスポーター:エロビキシバット

  • 腸管蠕動改善薬:モサプリド漢方薬:大建中湯、麻子仁丸、桂枝加芍薬大黄湯、桃核承気湯 など

 

当院では、問診と腹部診察をおこない、それぞれの患者さんに合った治療方針を一緒に考えますので、不快な便秘症状がればお気軽にご相談ください。

下痢

水分量が多い便や水のような便が1日に3回以上出る場合は下痢とされます。下痢は腸管で水分が十分に吸収されないか、もしくは腸管に水分が過剰に分泌される時に発生します。乳糖不耐症(乳製品の摂取により発生する下痢)は、浸透圧性下痢に分類されます。薬剤が原因となる場合や、ストレス等の精神的要因、膵臓疾患でも下痢が起こることがあります。
他にも蠕動運動亢進による腸管運動異常性下痢、細菌の毒素による分泌性下痢、粘膜の炎症による滲出性下痢などに分類されます。
潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎、薬剤性腸炎、過敏性腸症候群、慢性膵炎、大腸がんなど様々な疾患の可能性が考えられます。

便潜血陽性

便潜血検査陽性で疑われる病気

便潜血が陽性となった場合、消化器の様々な疾患が考えられます。主な病気は、以下の通りです。

大腸がんが見つかる人は、便潜血陽性の方のうち数%程度ですが、約50%に大腸がんの前がん状態である大腸ポリープが見つかります。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)が診断されることもあります。便潜血陽性になった場合は、便潜血検査をやり直すのではなく、精密検査として大腸カメラを受けることが推奨されます。大腸がんは進行するまでほとんど症状がありませんが、早期に発見すれば完治する病気です。2回のうち1回でも便潜血陽性になったら、症状がなくても大腸カメラを受けましょう。「痔のせいだから大丈夫・・・」と過信するのも危険です。一方、「便潜血が陰性なら大腸がんはない」とは言えないので、40歳以上の方で大腸カメラをされたことがない方も、一度は検査を受けられると安心です。

​大腸がん

​進行大腸がん

大腸がんの大きな特徴として、かなり大きな進行大腸がんになっても、便の通るスペースがある限りは、腹痛、便通異常、血便などの症状が出にくい点にあります。大腸がんは肝臓や肺に転移しやすい傾向があります。自覚症状がないうちにリンパ節転移や肝臓・肺への転移で発見される事も多いため注意が必要です。

大腸がんが近年急増している大きな原因のひとつとして、食生活の欧米化が挙げられます。牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの動物性脂肪を多く含む乳製品の摂取量の増大や、牛肉などの赤身肉の過剰摂取などにより、我が国では欧米諸国以上に大腸がんが急増しています。大腸がんは肥満などのメタボリックシンドロームの方が罹患するリスクが明らかに多く、遺伝とともに、生活習慣病の代表的な疾患として認識されています。乳がんや前立腺がんと共に食事などの生活習慣により激増している「がん」のひとつとして早期発見・早期治療がより重要になっている「がん」の代表と言われていますので、注意が必要です。

​大腸ポリープ(大腸腺腫、早期大腸がん)

大腸ポリープ・大腸がんについて

大腸ポリープは、大腸粘膜の表面にできる突起物の総称です。多くの場合、正常の大腸粘膜に遺伝子変異が加わることで、良性のポリープ「大腸腺腫」が発生します。当初は良性の大腸腺腫でも放置すると次第に成長し、大腸ポリープがある程度以上の大きさになるとがんを含む可能性が出てきます。大腸腺腫は、将来的にがん化するリスクを有する前がん状態であり、大腸がんの予防として早い段階での切除治療が必要です。

原因

大腸がんの発症には、食生活の欧米化(赤身肉・加工肉の過食、食物繊維の摂取不足)や肥満、運動不足、喫煙、飲酒などがリスクとなります。大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある方では発症しやすいので一層注意が必要です。

症状

大腸ポリープがあってもほとんど症状はありません。大きなポリープでは出血による血便(便に血が混じる、紙に血液が付着する)症状が出現することがあります。

大腸がんも早期には症状はありません。大腸がんが進行して大きくなると、血便、便が細くなる、便秘・下痢、腹痛・腹満感、体重減少、貧血、食欲不振などの症状が出現しやすくなります。

検査・診断

大腸カメラは、大腸全体を観察して大腸ポリープや自覚症状のない早期の大腸癌を発見できる最も確実な検査です。検査中にポリープを見つけた場合には、その場で切除を行うことが可能です。内視鏡の肉眼所見により良悪性の予測はできますが、良性のポリープの一部にがんを伴うことがあるため、切除して回収したポリープを病理検査に提出し、詳しく組織学的な検討をおこないます。

大腸カメラ以外の方法として、大腸CT(CTコロノグラフィー)検査も10mm以上の隆起型の病変に限ると、大腸カメラと同等の発見率があります。10mm未満の小さい病変や平坦型の腫瘍の発見率では大腸カメラに劣り、大腸CTで異常を指摘された場合は、改めて大腸カメラが必要になります。なお、便潜血検査は、大腸がんを拾い上げるための簡易な方法ですが、がん化する前の大腸ポリープの発見には不十分です。より早い段階で大腸ポリープを見つけて大腸がんを予防するには、大腸カメラ検査が一番確実です。

大腸ポリープ・大腸癌の治療

大腸ポリープの治療方法は、ポリープの種類や大きさ、形、数によって異なります。良性の大腸ポリープは、ほとんどの場合、内視鏡切除が可能です。一方で悪性の大腸ポリープ(早期大腸がん)の場合、内視鏡切除が可能な病変もありますが、外科手術が必要になる場合もあります。

大腸ポリープの治療で重要なのは、大腸ポリープを一括で完全に取り除くことです。分割で切除し、部分的に取り残してしまうと、同じ場所から再発するリスクや、がんが転移するリスクが高まります。大腸ポリープを一括で完全に取り除くためには、治療前に正確な術前診断を行い、ポリープの種類や状態に応じて最適な切除方法を選択します。

内視鏡治療の方法

大腸ポリープの切除方法には主に以下の3つがあります。

スネアポリペクトミー

スネアポリペクトミーは、大腸ポリープに「スネア」という金属の輪をかけて病変を絞め、電気を流して大腸ポリープを焼き切る方法です。主に有茎性ポリープ(きのこの様な形状)に適した治療法です。近年では、10mm未満の小さなポリープで、術前の内視鏡診断において良性のポリープと確信できる場合、電気を流さずに切り取る「コールドスネアポリペクトミー」という手法も広く行われます。術後の出血リスクが低いメリットがあります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、主に20mm程度までの大きさの無茎性ポリープを切除する治療法です。細い針でポリープの下の粘膜下層に生理食塩水を注入し、病変部を盛り上げてからスネアで絞め、電気を流して切除します。確実な一括切除が可能ですが、切除後の傷はスネアポリペクトミーよりも大きく術後の出血リスクもやや高いため、クリップで傷を閉じる処置を行います。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、20mmを超える大きいポリープや早期の大腸がんを一括して完全に切除する治療法です。粘膜下層に生理食塩水やヒアルロン酸を注入し、電気メスを使用して、がん病変の少し外側から薄く剥ぎ取る治療法です。病変の大きさにかかわらず一括で切除が可能な手法ですが、高度な技術を要し、出血・穿孔等の偶発症リスクもあるため、入院治療できる病院にご紹介します。

大腸ポリープ切除後の注意点

大腸ポリープ切除直後は、大腸粘膜に潰瘍ができた状態となります。傷は自然に治りますが、通電しないコールドポリペクトミーでも術後1日、通電を伴う処置では術後2日〜1週間程度は術後出血が起こりやすいため、注意が必要です。ポリープの大きさや形、切除方法によって異なりますが、激しい運動や飲酒の制限が必要です。

治療後の経過観察

別の場所にまた新たな大腸ポリープができる可能性があるので、定期的な経過観察が大切です。悪性のポリープや、10mm以上の大きなポリープ、3個以上の大腸ポリープを切除された方には、1年後に経過観察をおこない、それ以外の方は2〜3年毎の大腸カメラをお勧めします。

予防

大腸ポリープの予防について、低用量アスピリンの内服やビタミンD摂取などが研究されていますが、現在のところ確立した方法はありません。大腸がんの予防には、運動、赤身肉・加工肉を摂り過ぎないこと、食物繊維の摂取、禁煙、適正体重の維持などが有効ですが、大腸カメラを定期的に受け、ポリープの段階で切除することが一番の予防になります。

大腸ポリープ(1).jpg

早期大腸がんの内視鏡写真

内視鏡切除後の病理検査で、丈の低い顆粒状粘膜部は良性の大腸腺腫でしたが、丈の高い隆起部に大腸がんを認めました。

​過敏性腸症候群

原因と症状

過敏性腸症候群は、腸に腫瘍や炎症などの原因がないのに、腹痛や便秘、下痢などの症状が数ヶ月以上続く状態をいいます。排便回数や便の形状変化を伴う腹痛や腹部不快感があり、排便によって改善する症状が週に1回以上見られるのが過敏性腸症候群の診断基準です。便秘になる方、下痢になる方、あるいは便秘と下痢を繰り返す方など症状は患者さんにより様々です。

日本人の約1割が罹患し、女性、若い方に発症しやすい傾向があります。

原因は不明ですが、ストレスなど心理的要因が関連しています。腸内細菌のバランス異常、食物アレルギー、感染性腸炎も誘因となります。小腸や大腸は脳と連携し、消化吸収や排泄に関わっていますが、この連携がうまくいかず、腸の運動が変化し、知覚過敏になってしまうことが原因と考えられます。

検査

診断には、原因となる他の疾患がないことを確認が必要です。問診で症状について詳しく伺います。大腸カメラや、血液検査、便検査などをおこない、大腸がんや炎症性腸疾患を除外します。

治療

睡眠を十分にとり、食事や排便を含め、規則正しい日常生活を心がけましょう。症状を誘発しやすい食品(脂肪の多い食事、香辛料、カフェイン、乳製品など)があるようなら摂取を控えること、適度な運動を行うことが有効です。便秘型の場合は、高FODMAP食と呼ばれる発酵性の食品群を控えることをお勧めします。

それでも症状が残る場合は、それぞれのタイプに応じてお薬を調整していきます。

大腸の中の水分をコントロールする薬剤、整腸剤、漢方薬、下痢型の治療にはラモセトロン、便秘型にはリナクロチドが使用されます。

過敏性腸症候群はよくある病気ですが、日常生活に支障をきたしやすい疾患です。症状にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

​大腸憩室炎・大腸憩室出血

原因と症状

大腸憩室は、大腸の壁の一部が小さな袋状に腸の外側に突出したものです。右側大腸とS状結腸にできやすく、通常は無症状ですが、炎症や出血を起こすと「憩室炎」や「憩室出血」として治療が必要です。大腸憩室は、年齢とともに増加する傾向にあります。これは加齢に伴い、大腸壁が弱くなることが原因です。硬い便をいきんで出す習慣や、重いものを持ち上げ、腹圧が繰り返しかかることも要因です。

大腸憩室炎:憩室の中に便塊がはまり込んで炎症を起こし、腹痛や発熱などの症状を来すのが「憩室炎」です。炎症が悪化すると、腸に穴があく穿孔や、腸液が腹腔内に漏れ出て腹膜炎や膿瘍形成を生じることがあります。

大腸憩室出血:憩室内に露出した血管が破けて起こる出血が「憩室出血」です。腹痛を伴わずに突然真っ赤な血便が出ます。

治療

憩室は症状を起こさない限りは治療の対象とはなりません。「憩室炎」や「憩室出血」を起こした場合は以下のような治療を行います。

大腸憩室炎:軽症の憩室炎では、外来通院で抗生物質の内服治療を行います。炎症が強い場合は、腸管安静のため、入院の上で抗生物質の点滴・絶食管理を行います。炎症をこじらせて穿孔を起こし、腹膜炎や膿瘍形成を来すと、外科手術が必要になる場合もあります。

大腸憩室出血:ほとんどの憩室出血は絶食の腸管安静により自然に止血します。出血が持続する場合は、大腸カメラを用いた内視鏡的止血処置を行います。止血困難な場合は血管カテーテルを用いた止血術を行い、稀に多量の出血を繰り返す例では、外科手術を行います。

大腸憩室の予防には、過度な腹圧を避けることが重要です。便秘を治療し、重いものを持つ習慣を避けましょう。

​虚血性腸炎

原因と症状

虚血性(大)腸炎は、腸に栄養を運ぶ血管の血流が一時的に低下して腸管の虚血(血行障害)を起こし、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。

便秘により腸管内圧が上昇した場合に起こりやすく、便秘がちな高齢女性に多く見られます。下剤や浣腸の刺激が誘因になり、若い女性に発症することもあります。
突然の強い腹痛に続き、下痢が起こり、徐々に血便が出現します。多くの場合、血便は数日で落ち着きますが、腹痛は虚血の程度により異なり、重度例では発熱や貧血を伴い、長期間痛みが残ることがあります。

診断と検査

経過が特徴的であり、問診が重要です。血液検査では軽度の炎症反応を認めます。経過が典型的な場合は、症状が落ち着いてから内視鏡検査を行い、炎症後の狭窄がないか、悪性腫瘍がないかを確認します。

治療

通常は腸管の安静(飲水のみの絶食)により数日で回復します。状態により、入院の点滴加療をおこないます。腸管の虚血が強い(壊死を起こしている)場合には稀に手術が必要なこともあります。
消化の良い食事を段階的に再開し、便秘が背景にある場合は便秘の治療をおこないます。

​虚血性腸炎

原因と症状

ウイルス、細菌、寄生虫の腸管感染により発症します。高温多湿となる夏場は細菌性腸炎が多く、冬場にはノロウイルスをはじめとするウイルス性腸炎が多くみられます。細菌性はサルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O-157)、腸炎ビブリオなどがあります。ウイルス性にはノロウイルス、ロタウイルス、エンテロウイルスなどがあります。下痢や腹痛が主な症状ですが、血便や発熱、悪心・嘔吐、食欲不振を伴うこともあります。

治療

感染性腸炎の多くは自然治癒するため、症状に対する投薬と水分補給が主な治療です。整腸剤の内服により腸内環境を整えます。下痢止めは症状を長引かせることがあるため、あまり用いません。細菌性腸炎では、抗生物質を併用する場合もあります。

© けいしん内科クリニック

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